●足関節後方インピンジメント症候群とは、足関節後方に存在する骨・軟骨組織(三角骨、距骨後方突起、遊離体など)や軟部組織(滑膜炎、変性靭帯など)が、足関節底屈時に周囲とインピンジメントすることで、疼痛や可動域制限を引き起こす症候群です。
●三角骨は、距骨後方に存在する過剰骨(副骨)で、5~10%の人に存在しています。
●近年、関節鏡で手術が行われるようになり、三角骨や距骨後方突起を除去した後に、長母趾屈筋腱の腱鞘炎や滑膜の増殖、靭帯組織の陥入などが多数報告されるようになりました。
●足関節後方インピンジメント症候群は、足関節を最大底屈するクラッシックバレエに多いと報告されています。
●足関節後方インピンジメント症候群のリスク要因
①練習回数が多い、繰り返しの練習やトレーニング
②足関節や足部の底屈制限がある
③補助底屈筋群や足部の固有筋が弱い
④足関節や足部を底屈したとき、母趾が曲がってしまう、
背屈筋群を有効利用できない
⑤下腿三頭筋を有効利用できない
⑥アキレス腱をしまうことができない
⑦ローリングしてしまう(偏平足や過回内足があるなど)
⑧姿勢が正しく出来ない
⑨ルルベアップするとき重心が前すぎる
⑩ルルベアップするとき足指を使うタイミングが早すぎる
⑪その他
●足関節後方インピンジメント症候群は、バレエの初心者から上級者、プロダンサーにいたるまで、あらゆるレベルや年代でも起こり得ます。
●足関節後方インピンジメント症候群のトレーニング
Ⅰ足部のトレーニング:
①足裏のほぐしとストレッチ
②足指を曲げる、伸ばす、はわす、足部をすぼめる、床を押す
③アキレス腱をしまう練習、座位でのルルベと床の押し方
④底屈筋群と背屈筋群のバランス
Ⅱ全身と連動したコーディネーショントレーニング:
①体幹の筋力強化
②運動神経をよくするトレーニング
③体幹と足部・体幹とアームスをつなげるためのエクササイズ
④トレーニングをバレエにつなげるためのエクササイズ
●当院では、足部や歩行評価、バレエの基本的な姿勢や動きの評価を行った上で、ストレッチ・筋力強化・身体の正しい使い方・フォームの改善などの指導に力を入れています。