皆様、こんにちは~!!
今回の「色々な足」のモデルさんは、バレエとダンスをしている10歳のSちゃんです。
Sちゃんは、5歳からバレエをしています。
1月中頃にバレエの発表会があり、舞台の前日に両足を傷めてしまいました。
本番で頑張って踊り、足がつけないほど痛くなってしまいました。
整形外科を受診しましたが、骨には異常がなく、湿布とサポーターで様子を見ることになりました。
当院を受診したのは、受傷から2週間後でした。
痛みが軽くなってきたのでダンスのレッスンをしたところ、また足がつけないほど痛くなってしまい当院を受診しました。
Sちゃんは、①左足の内くるぶし②左足のかかと③右足のかかとに痛みがあると言っていました。
左足の内くるぶし周囲には、腫れと痛みがあり、
内くるぶしの少し上の骨端線部分にも強い圧痛がありました。
骨折(骨端線損傷)の疑いがあり、もう一度整形外科でレントゲンを撮ってもらいましたが、
骨折はありませんでした。
足関節捻挫と踵骨骨端症でした。
★ 足関節捻挫 ★
足関節捻挫については、こちらに詳しく書いてありますので、参考にしてください。
↓
(34)「足関節捻挫(外側靱帯損傷)のテーピング」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/16659474.html
★炎症を繰り返してしまった原因として考えられることは、
Sちゃんの足関節捻挫が内側靱帯損傷であるということと、
Sちゃんの後足部が回外誘導タイプであることです。
足関節捻挫は、外側靱帯損傷が多いのですが、Sちゃんは内側靱帯損傷だったのです。
Sちゃんは、整形外科で処方されたサポーターを使用していましたが、
回内誘導方向へサポーターをしていました。
初診時に歩行評価をしてみると、Sちゃんの後足部は、回外誘導タイプでした。
★外側靱帯損傷の場合は、テーピングやサポーターを回内誘導方向にします。
ところが、
外側靱帯損傷でも、テーピングやサポーターを回外誘導方向にする必要がある足のタイプの人がいます。
★内側靱帯損傷の場合は、テーピングやサポーターを回内も回外もしていない中間位にします。
ところが、
内側靱帯損傷でも、テーピングやサポーターを回内誘導方向または回外誘導方向にする必要がある足のタイプの人がいます。
★ケガの部位や個人の足のタイプによって、テーピングやサポーターの誘導方向も様々なのです。
★捻挫の痛みが中々取れない、あるいは捻挫を何度も繰り返している場合、
このように足部の誘導方向を見直す必要があるかもしれませんので、
是非、専門の医療機関へ相談してください。
足関節捻挫(外側靭帯損傷)回外誘導タイプの症例です。参考にしてください。
↓
(207)「足関節捻挫(外側靱帯)のテーピング(回外誘導タイプの足)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/51283343.html
(227)「足関節捻挫(外側靭帯損傷)のテーピング(回外誘導タイプの足)(バレエダンサー)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/51711201.html
(236)「色々な足 48 (13歳のバレエダンサー)(足関節捻挫)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/51903655.html
(251)「色々な足 54 (17歳のバレエダンサー)(足関節捻挫、足関節前面の痛み、底屈し過ぎる足)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/52296682.html
(271)「足関節捻挫の包帯法(回外誘導、下腿遠位外旋バージョン)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/52733087.html
★「足関節・足部・趾の運動に関する用語」について詳しく知りたい方は、日本足の外科学会のPDFを参考にしてください。
https://www.jssf.jp/pdf/term_proposal.pdf
★ 踵骨骨端症(Sever病) ★
★踵骨骨端症は、踵骨後部の骨突起の障害により、
かかとの後下方に痛みを生じる小児期の疾患です。
★10~14歳の男子に多く、競技種目ではサッカーに多いと報告されています。
★踵骨後部に骨突起が出現するのは、
男子では7~10歳ころ、女子では4~7歳ころに骨化が始まり、
12~15歳ころに踵骨体部に骨性癒合します。
★踵骨後部の骨突起は、
下腿部にはアキレス腱が付着しているため近位方向への牽引力が働き、
また足裏には足底腱膜が付着しているため遠位方向への牽引力が働くため、
力学的にも脆弱なのです。
そのため、踵骨後部の骨突起が、踵骨体部に骨性癒合する前の時期は、
軽い外力によっても外傷や障害が起こりやすいと報告されています。
★発症要因は、
全力疾走、急に止まる、急な方向転換、ジャンプ、裸足の競技、
あるいは不適切な靴、肥満、グラウンド(床)が硬いなどと報告されています。
★当院では、バレエやダンスをしている7~10歳ころの女子に多いです。
★経過は比較的良好で、
踵骨後部の骨突起が、踵骨体部に骨性癒合する12~15歳ころに
症状が改善することが多いです。
(女子の場合は、11,12歳で症状が改善することが多いです。)
★治療法は、
ヒールパッド、足底板療法、
下腿三頭筋や足底腱膜のマッサージやストレッチ、
靴の選び方、履き方、
環境要因の改善などなど。
いけちゃんのblogで「かかとの痛み」を主訴とする踵骨骨端症の症例は、
経過が良好なことが多いので意外に少ないですが参考にしてください。
↓
(226)「色々な足 47 (7歳の女子、かかとの痛み、偏平足)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/51696860.html
(273)「色々な足 58 (12歳のバレエダンサー)(かかとの痛み)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/52751925.html
(64)色々な足 65(9歳のバレエダンサー)(かかととアキレス腱の痛み)
https://www.ikejimasekkotsuin.jp/column/2764/
さて、やっとSちゃんの登場です。
①②③④Sちゃんの6番のアテール、1番のアテールとルルベとプリエです。
②④左足の方が、ローリングが強いです。
③左足の方が、床を押せていません。
⑤踵骨骨端症に有効な、足底板を作成しました。
(小学生はサイズが頻繁に変わるため、簡易インソールにしました。)
足底板作成後、Sちゃんの足の痛みは楽になりましたが、
バレエやダンスをすると、また少し痛みが出ました。
そんな中で、Sちゃんは、ある日ジャンプをするときの足の使い方で気づいたことがありました。
つま先から降りるとかかとの痛みが楽な気がする・・・と。
10歳でそれに気づいたのは素晴らしいです!!
「やさしいダンスの解剖学」より
★ジャンプで、足裏が床から離れるとき
アテール → 4分の1ルルベ(4分の1ポアント) → 2分の1ルルベ(ドミポアント) → 4分の3ルルベ(4分の3ポアント) → フルポアント
★ジャンプの着地で足裏が床につくとき
フルポアント → 4分の3ルルベ(4分の3ポアント) → 2分の1ルルベ(ドミポアント) → 4分の1ルルベ(4分の1ポアント) → アテール
これらの動きを正しく行えば、
足裏全体で衝撃を吸収し、かかとの痛みも最小限になります。
バレエの先生にいつも言われていると思いますが、
Sちゃんはそれを実感したところがすごいです!!
★かかとの衝撃を吸収するのは、足の使い方だけでなく、
足関節・膝関節・股関節の上手な曲げ方と、背骨や上半身の引き上げ方にも課題があります。
でもSちゃんは、まだ10歳です。
これから少しずつ、正しい身体の使い方を練習していこうね!!
私は、そんな成長期の皆さんを、心から応援しています!!
いけちゃん
いけちゃんのblog 1 目次 (2012年3月 ~ 2019年11月)
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/46271926.html
いけちゃんのblog 2 目次 (2019年10月 ~ )
https://www.ikejimasekkotsuin.jp/column/892/